カードゲーム営業の仕事〜体験会&販促施策編〜

TCG

ご新規集まれ!店頭体験会!

これまでの記事で、カードゲームのメーカーが行う仕事について主だったものをお話ししてきました。
今回もその延長で、カードゲーム会社がどんな仕事をしているかお話しします。

まずは「店頭体験会」です。皆さんはカードショップにいった際に、「新カード体験会」や「初心者向けティーチングイベント」が行われているのを見たことはありませんか?
2020年以降は新型コロナウィルスの影響でほとんど行われなくなりましたが、多くのTCGタイトルで不定期に開催されております。大きな目的は当然ユーザー数の増加なのですが、これにもタイトルの規模によって色々違いがあります。


まず遊戯王などの大きなタイトル。実は初心者向けのルールティーチング体験会は、取り扱い店舗の店員さんにお任せすることが多いです。規模が大きいためにメーカーの社員が直接教えるにも手が足りないことや、お店の中にそのタイトルに詳しい店員さんが多い(=教えられる人が多い)ことが関係していると思われます。
続いて中規模以下のタイトル。これらは初心者向け体験会にかなり力を入れています。店舗での体験会にTCGメーカーの社員が直接赴いて、体験会の進行からルールティーチングまで行うことも珍しくありません。私もメーカーのスタッフとして取り扱っているお店に行き、ティーチングを行ったことが何度かあります。これは私がTCG営業の仕事だったことも関係しており、お客さんの様子を直接見にいく目的もあります。他に社員が直接いく理由として、特に地方の店舗では「メーカーの公式スタッフがきてくれた」と喜んでくれるお店も多いので、そういったお店と長くお付き合いができるように関係づくりをしていくためでもあります。
決して出張手当や休日出勤手当がもらえるからとか、そういうよこしまな目的ではありませんよ!

自ら提案!学生向けTCGイベント!

かつて私のいた会社は、一時期TCGの売り上げが落ち込んでいました。そのために営業スタッフや開発スタッフが、それぞれお客さんを増やすための新しい施策を考えていた時期があります。
その中で私が提案したのは、大学生に自分たちの会社のTCGを遊んでもらって、未来のお客さんを育成することでした。提案した理由は単純で、一番TCGを遊ぶ時間が確保できてアルバイトでお金も多少持っている大学生に訴求するのが最も効果的ではないかと思ったからです。
その後社内で先輩たちとも話し合った結果、行った施策がこんな感じです。
・大学生に無料で(少し昔の)デッキをプレゼント、希望があれば体験会も実施
・公認大会に学生が参加したら、その人とその友達(社会人もOK)に参加景品を追加でプレゼント
・学園祭の中でメーカー公式スタッフが体験会
結論から言うと、どれもユーザー数の増加にはほとんど繋がりませんでした。しかし得るものはあったので、解説していきます。
まずは大学生に無料でデッキをプレゼントする企画ですが、応募はあったものの効果は弱かったようです。これは応募してくれた学生へのヒアリングや応募状況から分かったことなのですが、「新規ユーザーはそもそもこのキャンペーンの存在を知る術がない」「既存プレイヤーが大学生の友人に薦めるために渡す無料のカードだとしても、現在のゲーム環境で戦うには弱すぎる」などの問題があったからでした。いずれも当時の私では考えの及ばなかった部分だったので、勉強になりました。
続いて公認大会に学生が参加した場合に追加で景品をプレゼントする施策ですが、既存ユーザーからの反応は最も良かったです。公認大会の様子をお店で見せてもらった際に、学生の友人と大会に参加してくれる光景を何度か見ました。
最後に学園祭でメーカー公式スタッフが体験会をする施策ですが、1校だけ行うことができました。ただし実施するには応募してくれた学生を通じて大学の許可を得る必要があったので、学生の方にかなりの負担をかけてしまいました。協力してくれた学生さんには本当に感謝しています。

以上のような施策を行なってみて、仮説を立ててそれを検証するという経験ができたのは非常に有益でした。結果としてはうまくいきませんでしたが、こうした経験が後々ゲームディレクターの仕事を行う際に生きてくることになりました。その話は、またいずれ。

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